2018.10.12日本臨床栄養学会総会に参加
先週末、虎ノ門ヒルズで第40回日本臨床栄養学会総会が開催され、参加してまいりました。 NR・サプリメントアドバイザーの更新に必要な単位取得のためということもあり、また、共同研究先の国際医療福祉大学産婦人科の岡本先生のご発表もありましたので。
興味深かったのは初日のシンポジウム4、「新しい体内環境研究の最前線 – 腸内フローラと栄養」ということで、まさに、今、話題の腸内フローラです。
腸内に常在する約1000種類、100兆個ともいわれる細菌叢は、これまでの想像を、軽〜く、絶する存在だったということが、最近、つくづく感じています。生殖医療の分野でも、子宮内の細菌叢を調べる検査が、徐々に、普及してきて、悪玉菌優位であれば、着床の障害になるかもしれないということで、関心が高まっていたからです。
シンポジストの慶応大学の村上先生の講演の中で、食事を考える場合、これまでは口と小腸から考えていた。すなわち、美味しいか(口)、栄養があるか(小腸)だったと。ところが、これからはこれに加えて、大腸からも考える必要があると。すなわち、腸内細菌によい影響を及ぼすかどうかも大切な要素になってくるというお話には、まさに、目からウロコでした。
そういう意味では、糖質制限が流行していますが、糖質を制限することが腸内細菌の組成を変え、そのことが有用な代謝産物の産生も減らしてしまう可能性があるということで、なるほど!と思いました。
また、2日目のランチョンセミナー、順天堂大学の山城先生の講演、「腸内細菌の異常は胎児期、出産時から生じ、生涯の健康疾病リスクに影響」でも、オリーブオイルをふんだんに使う地中海食は善玉菌を増やすとのお話がありました。
もう1つ、千葉大学の飯島先生らのグループの研究「妊娠初期の栄養摂取状況と低出生体重児出産リスクとの関連の検討」もとても興味深かったです。
単胎正期産児を出生した健康な妊婦さんを対象に妊娠初期に食事調査を実施し、栄養素や食品の摂取量を算出し、低出生体重児の出産リスクとの関連を調べています。
その結果、菓子類の摂取エネルギー比率が高い妊婦さんは、低出生体重児を出産するリスクが高かったというのです。そして、米類や野菜類、魚介類、肉類の摂取エネルギー比率が低かったとのこと。
まさに、菓子類をよく食べる妊婦さんは偏食傾向にあることが推測され、お腹の赤ちゃんの成長に不利だったということが言えます。
妊娠前から食事バランスに気をつけることは、当たり前なことながら、とても大切だということですね。
最後に岡本先生の発表、「レスベラトロール摂取によるAging卵子の質の改善 – 卵巣内のSirtuin発現の変化 -」です。老齢マウスにレスエラトロールを摂取させ、体外受精胚移植を実施したところ、摂取させなかったマウスに比べて、胚移植後の着床率や産仔獲得率が高く、卵巣内のSirtuin遺伝子の発現やミトコンドリア活性がレスベラトロール摂取マウスで有意な増加が認められたということで、レスベラトロールが加齢による卵子の質の改善に有効である可能性が示されたというものでした。
■岡本直樹先生の発表風景